じゃが芋を煮崩れさせず茹でる方法ってあるの?って考えた事はありませんか?
実はペクチンを知れば、なるほどって感じるはずです。
この植物独自のペクチン!知れば結構面白いです。
ペクチンの性質が分かれば、料理が少し楽しくなるかも?
今回の記事は少し難しいので、理解しようと思わず、「ふ〜ん!そうなん」くらいでお読み下さい。
ペクチンって一体何なの?
ペクチンは植物の細胞壁に多く含まている成分で、細胞同士の接着剤的な役割があります。
加熱されると分解したり溶けたりしてしまい、
細胞同士の繋がりが弱くなったり(野菜が煮える)酸や糖分との影響でベトベトになったり(ジャム)します。
ペクチンの分解とph
ペクチンはph4で最も分解しにくく、ph5以上での加熱で急速に分解します。
またph3以下でも分解はしますが、加水分解と言う現象で分解の仕方が違うんです。
これらの事は調理をする時、重要な事なんですよ!
例えばゴボウやレンコンを歯切れよく茹でるには酢を入れますが、
これはphを4に近づけるためです、入れ過ぎると加水分解を起こしてしまいます!
またph5以上で加熱すると柔らかくなるスピードが速くなるので、
豆を茹でる時に重曹を入れるのも、こんな科学的な事があるんです。
(昔の人は経験から学んでいったんですね)
ペクチンは2種類の形がある
ペクチンは、高メトキシルペクチンと低メトキシルペクチンの2つにおおきくわけられます
(言葉は覚え無くてもいいので2種類あるんだくらいで)
高メトキシルペクチンは天然の熟した果物にふくまれ
、甘みの強いジャムや酸味の強いジャムを作る時に利用され、
低メトキシルペクチンは果物を酸処理して人工的につくられ、
低濃度のジャムやナパージュなどに利用されます。
普通ジャムを作る時は糖度55%以上 ph3位の酸で作ります!
ではハウス食品のフルーチェがジャムの様になるのは何故だと思いますか?
そうです!低メトキシルペクチンを利用して作るんです。
低メトキシルペクチンはカルシウムイオンと反応して固まるので、
砂糖の量が少なくても固まって(ゲル化)するんです!
軟化と硬化はphと加熱
軟化と硬化?いったい何なんって声が聞こえて来そうですが!
一般的にどんな野菜でも茹でる時、
ph4で柔らかくなりにくくph5以上またはph3以下(ph3以下での軟化は少し違います)で、
柔く(軟化)しやすい傾向にあります。
ph3以下とph5以上の軟化の違い
ph5以上の中性からアルカリ性の時の軟化は、
ペクチン同士の結合が弱くなる事で野菜が柔らかくなりますが、
ph3以下での軟化はペクチンの加水分解によって煮汁に溶けてしまう事で柔くなります。
野菜を長時間水につけたり、過熱を途中でやめると?
野菜を煮る時、途中で加熱をやめ再び過熱しても柔くなり難くゴリゴリになる時があります。
これは加熱中に細胞が死んでしまうと、細胞膜の機能がなくなりカルシウム(ca)・マグネシウム(mg)などが、
ペクチンと結びつきより硬くなってしまうのが原因です。
こうなってしまっては再加熱してもなかなか柔く(軟化)しにくくなります。
このように野菜を長時間水につけて置いたり、60℃くらいの加熱で一度細胞を壊し
野菜を固く(硬化)し煮崩れしにくくなるのを利用して製品を作っています。
野菜を茹でるときの考え方のまとめ
これまで書いてきたことから、
野菜を茹でる時、沸騰している中に入れて茹でるか?
水から茹でるか?で野菜の硬さが違ってくるということがわかっと思います。
水から徐々に温度を上げていくと、野菜の細胞は高温で壊れるまで異常な代謝をして、
ペクチンを分解します、この間に軟化と硬化が同時に起こっています。
この同時の変化は温度が上がってくると(70~75℃)軟化が目立って柔くなり、
硬化の作用が分かりにくくなってしまうんです。
それまでの温度では硬化が目立っているので柔く感じないと言うことになるんですね!
最後に一言
今回ペクチンと料理と言うことを科学的に見てきました。
こうやって科学的に考えて見ると、料理の出来上がりのイメージから
どのような調理作業をすればいいか分かってきます。
調理は科学の目でとらえ考えることで、料理の仕上がりを自分の思っているように近づけることができるんです、
また新しい調理器具ができるたびにその作業の方法が増えるということになります。
今回の記事はちょっと難しかったかもしれませんが、
調理の作業や食材を科学的に考えて見るのも
その意味なんかが理解して納得できてたのしいんじゃないかとおもいます。
最後まで読んでいただき有難うございました。
運営者 春眠